『坪内稔典自筆百句』を読む

 『坪内稔典自筆百句』(沖積舎)を読む。2016年、坪内の編著書が100冊を超えたことを機に、沖積舎の舎主から100句の色紙展を提案され、それをまとめて本書となった。ただ、坪内は「自慢じゃないが字が下手である。その証拠がこの本だが……」と書く。

 坪内は俳人で、ユーモアのある俳句やナンセンスな俳句で有名だ。カバを詠むことでも知られている。本書からいくつかを引く。

 

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 三月の甘納豆のうふふふふ

 

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東風吹いて君もオランダミミナグサ

 

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一羽いて雲雀の空になっている

 

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百日草がんこで知れる父と母

 

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炎天の男錨の匂いして

 

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十月の椋も榎も見上げる木

 

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月光の折れる音蓮の枯れる音

 

 

坪内稔典自筆百句

坪内稔典自筆百句

  • 作者:坪内 稔典
  • 発売日: 2016/02/23
  • メディア: 単行本