トキ・アートスペースの四塚祐子展を見る

 東京渋谷区外苑前のトキ・アートスペースで四塚祐子展が開かれている(6月28日まで)。四塚は1970年京都生まれ、1990年に成安女子短大(現成安造形大学日本画専攻を卒業し、その後フランスへ行って、2000年にヴェルサイユ美術学校を卒業している。2001年に京都の画廊で初個展、以来主に関西の画廊で個展を開いてきて、東京では今回が初個展となる。
 四塚はモノタイプを作っている。今回もほとんどがモノタイプだったが、1点だけドローイングの作品を展示している(それは撮影に失敗してここに並べられない)。

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 縦のストライプが描かれた向こうに何かの形が見える作品と、全体に暗く地平線のような下半分がさらに暗い作品が展示されている。いずれも抽象的な作品だが、どちらも天と地が感じられる。だから風景が元になっていると言ったらそれは短絡だが、純粋な造形というより地上の存在から展開させていると言ってみたい気がする。
 画廊のHPに掲載されている四塚のコンセプトを引いてみる。

今、世界中で同時に様々なことが変わろうとしています。
前の日常に戻れるかもしれませんし、もう戻れないかもしれません。
たくさんの人が亡くなっているという映像、そんなことを無視した各国の思惑、
人間が少なくなった地でのびのびと動きだす動物たち 青くなった空。
ある日、テレビでイタリアの老人が友達に会うことが楽しみだと、友とハグできないなら、
コロナにかかったほうがましだと言っていました。そんなに大事に人を思えるなんて、
美しいと思いました。

 せっかくの東京での初個展がコロナ禍と重なってしまって、それが残念だ。
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四塚祐子展「今、ここで」
2020年6月22日(月)―6月28日(日)
12:00-19:00(最終日17:00まで)水曜休廊
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トキ・アートスペース
東京都渋谷区神宮前3-42-5
電話03-3479-0332
http://tokiart.life.coocan.jp/