羽黒洞の亀井三千代展「カルマフリー」を見る

 東京湯島の羽黒洞で亀井三千代展「カルマフリー」が開かれている(6月28日まで)。亀井は1966年生まれ、慶應義塾大学文学部哲学科卒業。1996年より東京医科歯科大学・解剖学講座にて解剖学聴講、解剖図を描き始める(2004~2010専攻生 )。現在、墨、日本画の素材を使い、春画的なフォルムに解剖学的イメージを重ね「身体曼荼羅」の新しい世界を探求。(画廊のHPより)
 また、HPには亀井の言葉が掲載されている。

身体に纏わる図像である解剖図も春画も描かれた瞬間から「かくされるモノ」としての
宿命を負っているように思われます。
私の仕事はそれらをできる限り美しく描いて顕在化させることでもありました。
喜々として現れるモノたちの異議申し立てに耳をそばだてメカルマフリーモという場に託します。
作品には人の見たくない表現を含むかもしれませんが、これは私の人やいのちの賛美の方法なのです。
是非ともご覧頂けましたら幸いです。

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 画廊の文章に「春画的なフォルムに解剖学的イメージを重ね「身体曼荼羅」の新しい世界を探求」とあるように、少しばかり危うい世界を、解剖学講座で学んだ解剖図を援用してソフィストケイトされた造形で処理している。春画的な危うい世界を離れることなく、同時に生々しさを消化して、微妙なバランスをとって作品化している。
 とは言え、何点かの作品はSNSで発表するとアカウントを停止されてしまうかもしれませんよ、と亀井から注意されたので撮影しなかった。この程度で咎められるなんて、SNS担当者は中坊かと揶揄したいくらいだ。
 羽黒洞は長谷川利行を見出し、肉筆浮世絵を世間に広めた由緒ある老舗画廊。ここから独立したのが不忍画廊や川船画廊、T-BOX、いのは画廊などで、ある種の画廊のセンターと言える。
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亀井三千代展「カルマフリー」
2020年6月20日(土)―6月28日(日)
11:00-18:30(会期中無休)
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羽黒洞
東京都文京区湯島4-6-11 湯島ハイタウンA棟2階
電話03-3815-0431
http://www.hagurodo.jp/
東京メトロ千代田線湯島駅1番出口より徒歩1分
 JR御徒町駅より徒歩8分、上野駅より徒歩13分