山本弘生誕90年

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 昨日6月15日は山本弘の誕生日だった。生誕90年となる。
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 山本弘を偲んで、暮沢剛巳『現代美術のキーワード100』(ちくま新書)を手に取った。購入したのは11年前、しかしこれは一種の事典だから興味のあるところだけ拾い読みしてきた。今回初めて「アンフォルメル」の項を読んだのではなかったか。
 アンフォルメルについて、

主として1950年代に前衛芸術の一翼を担った抽象絵画の動向。アンフォルメルとはフランス語で「非定形」を意味し、フランスの批評家ミシェル・タピエが、1952年にパリで「アンフォルメルの意味するもの」という展覧会を企画し、またそれと連動する形で小冊子『別の芸術』を出版し、運動としてのアンフォルメルマニフェストとしたことによって定着した。正確にはアール・アンフォルメル(art informel)という。
アンフォルメルの起源は、第2次世界大戦直後の1945年に、激しい感情表現を特徴とするヴォルス、ジャン・フォートリエ、ジャン・デュビュッフェらの絵画が発表されたことに始まる。彼らの作品を見て衝撃を受けたタピエは、その後多くの作品に接して、表現主義からアメリカの戦後の抽象絵画にいたる、戦後の極めて広範な抽象絵画の展開を「非定形」という特徴のもとに総括できるとの結論にたどり着く。(中略)
……多くの作品に見られる激しい感情表現は「熱い抽象」と称され、幾何学的な造形を特徴とする構成主義などの理知的な「冷たい抽象」としばしば対比されることになった。またマチューら一部の作家の作品は、画面に塗布された絵具が染み(タッシュ)を連想させる特徴が見られたことから、同じくフランス語でタシスムと呼ばれることも多かった。(後略)

 私が初めて山本弘を知ったのは1968年で山本37歳だった。最初の頃から、自分は「熱い抽象」だとか、タシスムだとか言っていた。好きな画家は長谷川利行だとかスーチンやモジリアニ、ゴッホなどと言っていたが、本当はアンフォルメルの影響が強かったのではないか。しかしそのことは韜晦して言わなかったのかもしれない。そして1970年年代半ばころからはっきりとデュビュッフェやフォートリエの影響が強い優れた作品が描かれている。
 山本弘アンフォルメルの影響を強く受けた画家として位置付けたい。

 トップの画像は山本弘「塀」12号、1978年制作か、飯田市美術博物館蔵

 

現代美術のキーワード100 (ちくま新書)

現代美術のキーワード100 (ちくま新書)

  • 作者:暮沢 剛巳
  • 発売日: 2009/04/01
  • メディア: 新書