Stepsギャラリーの「うのぜみ2020 ブレと滲みと不定形」を見る

 東京銀座のStepsギャラリーで「うのぜみ2020 ブレと滲みと不定形」が開かれている。これは嵯峨美術大学で教えている宇野和幸が教え子を選んでここStepsギャラリーで「うのぜみ」展として毎年行っているものだ。今年は宇野のほか勝木有香と蘇理愛花が参加している。

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 蘇理愛花は1996年京都生まれ、2020年に嵯峨美術大学を卒業し、同大学大学院に入学している。蘇理は大きな作品2点を展示している。一つはレリーフというか半立体の半球形の作品、3つの突起があってこれは何だろう? もう一つの平面作品が面白かった。ぼんやりした男の像が描かれているのかと見ていたら、宇野が教えてくれた。新聞に載った解像度の悪い小さな写真に農婦が写っていた。それと同じ格好を男の友だちにしてもらい、それをまた撮影したりして色々加工して描いたものだとのこと。それを聞いて作品を見るとまざまざと存在感のある麦わら帽子をかぶった農婦の姿が見えてきた。ここに写真を示したけれど、これは実物でないとその良さが分かりづらいだろう。こんなぼやけたような画像に確かに農婦の姿が見えてくるのだ。

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 勝木は1996年大阪生まれ、2019年嵯峨美術大学を卒業し、同大学大学院に入学している。2019年に大阪で初個展。勝木はシルクスクリーンの作品を展示している。これまた宇野によればディズニーのアニメの動きを再構成しているようだ。具象的な形は描かれていないのに、ディズニーのアニメの動きが見えるから面白い。

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 宇野和幸は1960年千葉生まれ、東京藝術大学大学院を修了し、現在嵯峨美術大学で教えている。作品は和紙にシンナープリント、アクリル絵具、墨などを使い、束ねたりして一部立体的に加工している。これをレリーフとは言い難い気がする。平面作品でありながら強く物質性に拘っていると言うべきか。今回弟子たちに遠慮してか1点だけの展示になっている。
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「うのぜみ2020 ブレと滲みと不定形」
2020年6月15日(月)―6月20日(土)
12:00-19:00(最終日17:00まで)
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Stepsギャラリー
東京都中央区銀座4-4-13琉映ビル5F
電話03-6228-6195
http://www.stepsgallery.org