ガルリSOLの島田佳樹個展「すべて、太陽のせいです。」を見る

 東京銀座のガルリSOLで島田佳樹個展「すべて、太陽のせいです。」が開かれている(2月22日まで)。島田は1994年埼玉県生まれ、2019年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。今回が初個展となる。
 画廊には何本もの木の柱が立っている。根元には錘のような石がある。柱と石は一応ゆるくつながっている。柱と柱は細い紐で結び付けられている。島田によると、ゆるやかだが、柱も正面の絵のようなものが描かれたパネルもこれらの紐がなければ倒れてしまうという。紐に触れてみると張っていなくてゆるやかだ。緊張がない。
 島田のこのインスタレーションは造形的に美しくはない。パッと見て意味するものも見えない。ただ不思議な形だと思った。美しくもないし、意味がありそうでもない。この造形は何なのだろう。そして島田と話してゆるやかに柱を立てめぐらして、ゆるい紐の張力でこの造形空間を成り立たせていることを知った。

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 私も30年以上現代美術を見てきたが、島田がこの空間を構成したような先駆者はいなかったと断言できる。今回島田の初個展でそのインスタレーションの完成度は高くはないと思う。しかし、この試みは評価されてしかるべきだと思う。粗っぽい作品だが、オリジナリティに優れている。
 島田は石の彫刻を作ってきた。河原に転がるような自然石にちょっとだけ手を加えた作品の写真を見せてくれた。石彫の作家なのだ。だから柱の基礎のような石は小松石を刻んだものだという。
 もしかしたら私たちは単なる思い付きの作家の初個展をみているのかもしれない。しかし、もしかしたら優れた作家の誕生の瞬間に立ち会っているのかもしれない。10年後にはその結論が誰の目にも明らかになっているに違いない。
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島田佳樹個展「すべて、太陽のせいです。」
2020年2月17日(月)―22日(土)
11:00-19:00(最終日17:00まで)
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GALERIE(ガルリ)SOL
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル6F
電話03-6228-6050
http://www005.upp.so-net.ne.jp/SOL/