ヒノギャラリーの多和圭三展を見る

 東京八丁堀のヒノギャラリーで多和圭三展「ブ、ツ、シ、ツ」が開かれている(2月2日まで)。多和は1952年愛媛県生まれ、1978年日本大学芸術学部美術学科彫刻専攻卒業、1980年日本大学芸術学部芸術研究所修了、2009年多摩美術大学彫刻科教授就任、現在に至る。
 1981年真木画廊で初個展、以来ときわ画廊、田村画廊、ギャラリー現等々で個展を開き、1992年以降はヒノギャラリーで何度も個展を開いている。2010年には目黒区立美術館で大きな個展が開かれた。また各地のグループ展に参加している。2015年と2017年のヒノギャラリーでの個展もこのブログに紹介した。
 今回鉄の大きな作品が二つ、奥の部屋に展示されている。


 これは製鉄会社にあった端材としての鉄のブロック状のものを箱型に溶接し、その上にセメントを練る舟と呼ばれる鉄材の古くなったのを何枚も重ねて叩いて溶接している。重量約1トンもある。表面が平坦でないのは、ブロックの高さが均一でないためとのこと。




 もう一つは底のない箱上の形態と言おうか、分厚い鉄の板を4枚、ロの字型に溶接している。上部は磨いていて、内側の側面はグラインダーで削って刃跡の表情を着けている。こちらが200キログラムくらい。




 手前の部屋には小山型の小品が26個並んでいる。どれも鉄の塊だが、見えない底面は鏡面仕上げで、ひっくり返して見せてくれたが、周辺にアールを着けている。小さいのは2キログラム、大きいのは10キログラムあるそうだ。
 多和は多摩美で彫刻を教えているが、教え子から優れた作家が何人も生まれている。優れた伯楽でもあるのだろう。
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多和圭三展「ブ、ツ、シ、ツ」
2019年1月15日(火)−2月2日(土)日曜休廊
11:00−19:00(土曜日は17:00まで)
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ヒノギャラリー
東京都中央区入船2-4-3 マスダビル1階
電話03-3537-1151
http://www.hinogallery.com
JR線・地下鉄日比谷線「八丁堀」駅A2番出口より徒歩5分
地下鉄有楽町線新富町」駅7番出口より徒歩5分