東京練馬区のちひろ美術館・東京でいわさきちひろ生誕100年「Life展−作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝」が開かれている(1月31日まで)。いわさきちひろと長島の二人展だ。この美術館はいわさきちひろの住居であったところを美術館にしている。小さいがとても上品で気持ちの良い建物だ。
いわさきちひろは私も娘が生まれたとき、母親が娘にちひろの絵本を買い与え、その絵の美しさに驚いたのだった。水彩絵具の色彩がとてもいい。今回も4つの展示室のうち、展示室1はちひろの原画を、展示室3は二人の作品のコラボレーション、展示室2は長島が幼い息子を撮った写真を並べている。長島は、暮らしに子どもを迎えたことはアーティストとしての転機になったという。美術館で配布しているちらしから、
……過去の代表作である「家族」(1998年)や「not six」(2004年)などと同じく、アートや写真が内包する男性中心主義的な視点への挑戦であるとともに、子どもという存在が純粋に見飽きない被写体であることの驚きや、見ること、その場に居合わせることの喜びを鑑賞者に伝えます。
私も娘が小学校入学するころまで、毎週1本のカラーフィルムで娘を撮影していた。当時フィルムと現像プリント代は安価ではなかったから週に1本だったが、デジタルだったらその何倍も撮っていたかもしれない。
そして展示室4は長島の千人針プロジェクトと、ちひろのベトナム戦争に取材したゲリラになった母親と、母親の帰りを待つ子供たちを描いた作品。千人針というのは、第2次世界大戦のとき、兵士の無事を祈って母親たちが布切れに身近な大勢の女性たちからは針を刺してもらったもので兵士のお守りにした。長島はそれを再現して映画を作り、その様子をポラロイドカメラで撮っている。ポラロイド写真は2つの壁面に千点余も展示されている。それが最も圧巻だった。
ちひろ美術館を訪ねたのは7年ぶりだった。以前訪れたとき、中庭の大きなバラの幹に見たこともないほどの大量のバラシロカイガラムシがびっしりと寄生していた。そのとき美術館のスタッフに、このままではバラが弱ってしまうので駆除するようアドバイスしたのだが、あまりはかばかしい反応が返ってこなかった。その後どうなったか気になっていたので最後に中庭に出てバラの木を確認した。あんなに寄生していたカイガラムシの痕跡がどこにもなくて安心した。
7年前のバラシロカイガラムシ
現在のバラの幹
・
美術館と上井草駅の途中に日当たりの良い畑があり、そこで早くもホトケノザが咲いていた。7年前もたしかここでスミレの花を撮ったことを思い出した。
・
作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝
2018年11月3日(土・祝)−2019年1月31日(木)
10:00−17:00(月曜休館)、12月15日はちひろ100歳の誕生日で入場無料だった
・
ちひろ美術館・東京
東京都練馬区下石神井4−7−2
電話03−3995−0612
https://chihiro.jp/
※西武新宿線上井草駅から徒歩7分。駅を出て北に向かうとすぐ信号のある千川通りに着く。信号を右折する。次の信号の左側に案内板がありそこを左折、畑1枚分の先にプレートがあり右折する。また看板があり左折すると左手に美術館がある。