穂村弘『短歌ください』(メディアファクトリー)を読む。雑誌『ダ・ヴィンチ』誌上で短歌を募集し、応募された短歌を穂村が選びコメントしている。
面白い作品を拾ってみる。
好きでしょ、蛇口。だって飛びでているとこが三つもあるし、光っているわ (陣崎草子・女・31歳)
イカ墨のパスタを皿に盛るように洗面器へと入れる黒髪 (麻倉遥・女・25歳)
野菜ならどんなものでも漬け物にすると宣言父の信念 (晴家渡・男・26歳)
カタツムリ踏み潰すのに似ているね そんなところにキスをすること (ゆず・女・18歳)
一秒でもいいから早く帰ってきて ふえるわかめがすごいことなの (伊藤真也・男・35歳)
ちんちんを股にはさんで「女」ってやるのは日本の男だけなの (日野寛子・女・33歳)
脱がしかた不明な服を着るなってよく言われるよ 私はパズル (古賀たかえ・女・30歳)
さて、面白い短歌が並んでいる。しかし、様々に並ぶ短歌を読み終えて、意外に面白くなかった。おそらく穂村も受ける短歌を選び、応募者も受けそうな短歌を応募しているから。やはり受け狙いのものは底が浅いのではないかと思ってしまう。