天使のトランペットが咲いている

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 東京日本橋小伝馬町に天使のトランペットと呼ばれるキダチチョウセンアサガオが咲いていた。これが恐ろしい幻覚作用を持っていることを2年前の植松黎の「世界の毒草」で知った。それを紹介した私のブログを再掲する。

……キダチチョウセンアサガオの原産地の一つが南米コロンビアで、その毒成分スコポラミンの中毒症状は記憶喪失だという。
 コロンビアの夜の美女たちは、酔客や観光客を誘ってスコポラミンの粉末を飲み物に溶け込ませる。その粉末は少量で効果があり、無味無臭だから気づかれにくい。

 「スコポラミンの最大の被害は、被害を受けてもその記憶がまったくないことである。いわれるがままに、現金やキャッシュカード、スマホなど金目のものすべてを差しだしてしまう。気がついたときは路上に放りだされ、酔いつぶれたように横たわっていたりするのだ。 コロンビアの都市では、こうした犯罪が日常茶飯事におこる。しかし、犯人が捕まることはめったにない。何しろ、被害者は犯行時のことは記憶喪失状態で犯人像はもとより、自分が何をし、何をされたか覚えていないのだ。証拠もなく、供述も曖昧だから立証が困難なのである。」

 また、ATMに連れていかれたある男性被害者は、機械を操作して現金を引き出し、それを犯人に巻きあげられる。スコポラミンで自由意思はしばられていても体は命令どおりに動くのだ。さらにそのあと犯人たちは彼の自宅に案内させ、部屋にある金目のものを一切合切持ち出した。近所の人がいぶかって声をかけても「いいんだ」と振り切って家財道具を運ばせた。2日後にようやく気付いたときは、自分の身に何が起こったか全く覚えていなかった。
 植松はこれを読んで安易に真似をしないようにと最後に恐ろしい事例を紹介する。祖母の家の庭で、祖母と母と会話に興じていた21歳のドイツ人の青年がトイレに立って、間もなく耳をつんざくようなすごい叫び声をあげた。彼は庭の剪定バサミで自分の舌とペニスを切断してしまったのだ。彼は自作のスコポラミン茶を飲んだのだった。スコポラミンは記憶も失わせるが、幻覚もおこさせるのだ。
 キダチチョウセンアサガオは園芸名エンジェルトランペット、花が下向きに咲く。近縁のチョウセンアサガオダチュラとも呼ばれ、花が上向きに咲く。やはり有毒植物である。

 「世界の毒草」が連載されていた『一冊の本』は、内容が過激なためか、連載を途中で打ち切っている。