アイザック・アシモフ『ファウンデーション』を読む

 アイザック・アシモフファウンデーション』(ハヤカワ文庫)を読む。「銀が帝国興亡史」シリーズの1冊目、文庫で7巻全11冊の膨大なシリーズだ。壮大な宇宙叙事詩とある。文庫の巻末の宣伝文を7巻分つなげて書けば、

第1銀河帝国の滅亡を予測した天才科学者セルダンは、帝国を再興すべくファウンデーションを設立したが……/設立後200年で、諸惑星を併合し着々と版図を拡大していくファウンデーションの前に恐るべき敵が現れた。/第1ファウンデーションを撃破した超能力者ミュールの次なる目標は? 壮大なスケールで描きだす宇宙叙事詩/謎に包まれた第2ファウンデーションの探索に旅立った青年議員トレヴィズは、宇宙の果てで何を見たのか?/銀河系の未来への鍵を握る人類発祥の惑星――地球を探索する旅に出た議員トレヴィズが発見したものとは……/人類の未来を予言する心理歴史学によりファウンデーションの祖となった天子科学者セルダンがたどる大冒険の旅/ファウンデーション創立をめざす心理歴史学者セルダンの活躍を描く壮大な宇宙叙事詩完結篇。巨匠最後の長編

 「巨匠最後の長編」の巨匠とはアシモフのことだ。アシモフは50年前に何冊か読んだかもしれない。本書も20年前に購入していてやっと読んだのだった。さすがSFの巨匠アシモフの長編で、見事なストーリーテラーだ、感心しちゃうわ、とこれはひょうたん島の魔女の台詞。
 だが、スタニスワフ・レム教徒の私としては、これを素直に評価することができない。せいぜい高級なスペースオペラにしか見えないと言わざるを得ない。
 大森望も『21世紀SF1000』(ハヤカワ文庫)で、レムの『高い城・文学エッセイ』について次のように書いている。

 要するにレムは、どんなくだらないことでも"ちゃんと考える"人なので、考えてないものはめちゃくちゃ罵倒する。SFは可能性を秘めているが、SFファンは莫迦ばっかりでろくに世界文学も読んでないから新しい価値を理解できず、SFに革命的な変化が起きる確率は低いだろう(本書収録の「SFの構造分析」の結論を勝手に要約)みたいな嫌味もそこから導かれてくるわけで、まあ、たいへんなおっさんですわ。きみ、頭よすぎ。

 だから、私のアシモフに対する酷評も許されよ。

 

 

 

ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)