半藤一利『「昭和天皇実録」を読む』を読む

 半藤一利『「昭和天皇実録」にみる開戦と終戦』(岩波ブックレット)を読む。「昭和天皇実録」を読み込んで、開戦と終戦に関する昭和天皇の関与を分析している。
 軍部は日中戦争の泥沼化を打開しようと南部仏印に進駐することを企てる。天皇が各国に影響を及ぼさないかと杉山参謀総長聞いたところ、なんら各国に影響するところはない、作戦上必要だから進駐しますと答えた。しかしその結果英米は資産を凍結し、石油の対日輸出を全面的に禁止した。石油の備蓄は海軍が1年半活躍できるほどしかなく、石油を求めて南進せざるを得なくなる。
 軍部の無責任な予測に天皇も政府も翻弄される。しかし軍部は統帥権の独立を言っていて、内閣は軍部をコントロールすることはできない。軍部が直属する天皇憲法の規定によって直接政治に口出しができない。軍部の独走の体制ができていた。
 昭和20年は東京大空襲があり、制空権も制海権アメリカに奪われている。連合国側は無条件降伏を突き付けていた。戦力もほとんど残っていない。それなのに降伏しなかったのは、無条件降伏と戦争責任者の処罰をしないことを幸福の条件としたかったからだ。どこかで勝利を得て、有利な条件で講和に持ち込みたいと考えていた。
 ソ連が宣戦布告し原爆が投下されても、軍部は本土決戦を主張する。御前会議が開かれ、最後に天皇ポツダム宣言を受諾して降伏することを決断する。
 これらの歴史の機微を半藤が読み解いて詳細に語っている。知っているつもりだったが、教えられることが多かった。

 

 

「昭和天皇実録」にみる開戦と終戦 (岩波ブックレット)

「昭和天皇実録」にみる開戦と終戦 (岩波ブックレット)