シロタ画廊の権正浩展を見る

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 東京銀座のシロタ画廊で権正浩展が開かれている(3月30日まで)。権は韓国の作家で1944年生まれ。各地の美術館に作品が収蔵されているらしい。今回の個展は韓国の和紙(という言い方も変だが)で頭蓋骨を作っている。メインギャラリーに設置された頭蓋骨の数はざっと1,500個もあった。作品の題名が「ゴルゴダ」で、キリストが処刑された地名だが、権はキリスト者でもあるという。生年を考えると朝鮮戦争の記録だろうか。おびただしい数の頭蓋骨は軽やかな和紙で作られているせいもあって重苦しい印象はない。だが近づいてみれば、和紙で作られた頭蓋骨は粗い繊維が粗密の表情を見せ、古い戦場の遺骨の現状を示しているようにも見える。そして、膨大な数の死はどこか安穏と生きている日本人の日常を撃つのではないか。朝鮮半島はまだ停戦中に過ぎないのだ。6月から国立新美術館で始まるボルタンスキー展とも共通するものがありそうだ。

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 手前の小さなスペースのギャラリーでは平面的な作品が壁に展示されている。ここでもやはり数多くの和紙で作られた頭蓋骨がレリーフ状に重ねられている。藤田嗣治戦争画の代表作「アッツ島玉砕」を連想した。

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 韓国の優れた作家の個展である。できるだけ多くの日本人に見てほしい。
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権正浩展
2019年3月18日(月)-3月30日(土)
11:00-19:00(最終日17:00まで)日曜休廊
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シロタ画廊
東京都中央区銀座7-10-8
電話03-3572-7971
http://www.gaden.jp/shirota.html