田房永子『他人のセックスを見ながら考えた』を読む

 田房永子『他人のセックスを見ながら考えた』(ちくま文庫)を読む。過激なタイトルだが、ちくま文庫から出されたのだからそんなに下品ではない。もっとも最近会田誠の講義を聴講して精神的苦痛を受けたと大学を告訴した女性もいたから油断はできないが(誰が?)
 田房は自称エロ本のレポート漫画家で、風俗を取材してそれを記事にしている。取材相手や対象は雑誌の編集者が提案しお膳立てしているようだ。人妻アロマオイルマッサージ、ドール専門風俗店、密着型理髪店、ストリップ劇場、パンチラ喫茶、メイドキャバクラ、AV撮影、おっぱいパブなど、いや怪しいセックス産業が並んでいる。さらに富裕層スワッピングパーティー、20歳以上サバを読んでる自称29歳のテレクラ男とか、いやいや怪しい単語で目次が埋まっている。
 ところが田房はそれらの現場を体験してシラケている。解説を書いている樋口毅宏によると、田房の『ママだって、人間』を読んで衝撃を受けた。樋口の奥さんは弁護士だが、この本(『ママにん』)にやられて、300冊は買って伝搬活動に勤しんでいるという。さらに樋口は『他人のセックス~』を学校の教材として真剣に検討すべきだとまで言う。絶対必読だと。
 なかなか面白かった。ある程度の免疫があれば読むことをお勧めします。