アラン・ワイズマン『人類が消えた世界』を読む

 アラン・ワイズマン『人類が消えた世界』(ハヤカワ文庫)を読む。SFのようなタイトルだが、ノンフィクションだ。増え続けた人類のために、また増大するプラスチックや化学物質などのために、地球は莫大な負荷を受けている。動植物が絶滅の危機にあり、すでに絶滅したものも数多くある。
 本書は現在の時点でもし人類が地球から消えたなら、地球上の動植物はどのくらい回復することができるかという問いかけで書かれている。もう本当に嫌になる。アメリカ大陸に多数いたナマケモノなどの大型哺乳類は、アメリカ大陸に人間が侵入してから一挙に絶滅してしまった。太平洋で渦を巻くプラスチック片が浮遊する海のゴミ捨て場はアフリカ大陸並みの面積に達している。世界に点在する原子力発電所は441カ所もあり、それらの安全性を将来にわたって確保することはできないと主張する。
 本当にいやになってしまう。ワイズマンは産児制限を言う。今後、出産可能な女性が子供を1人しか生まなかったら現在65億の人口は今世紀半ばまでに10億人減る。一方現状のままだと90億人に達すると推定されている。出産数を1人にすれば人口は2075年までに現在の半数近くにまで減少し、2100年までに人類は16億人になるという。
 しかし人類は増え続け、環境は汚染され、地球は人類も動植物も過酷な末路へと進んでいくのだろう。トランプ大統領の存在がそれを証明している。
 多くの人に読んでほしい。



人類が消えた世界 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

人類が消えた世界 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)