『古今和歌集』の「物名」に、ふかくさの和歌が載っている。ふかくさは清原深養父で、覚醒剤番長の先祖に当たる(らしい)。
からもゝの花
あふからもものはなほこそ悲しけれ 別れんことをかねて思へば
「物名−モノノナ」は題の語を歌の中に隠して詠んだもの。この歌も脚注で、
からもゝ―あんずの古名。1〜3会っている時からもやっぱり悲しいことだ。初句の終りと第2句の初めに題の語がある。
からもも(唐桃)は杏(アンズ)の古名とある。桃は古代の中国から渡ってきた。それまで日本でモモと呼ばれてきた植物はヤマモモ(山桃)だった。渡来した立派な実の植物を桃と呼ぶことで、従来のモモをヤマモモと呼び変えた。おそらく渡来した中国の桃が日本に定着した後で杏が渡ってきたので、最初それをカラモモと呼んだのだろう。
中国渡来の桃は霊力を持つとされた。桃の霊力は、イザナギが訪ねていった黄泉の国でイザナミに会い、その醜悪さに逃げ出すとイザナミが鬼に追いかけさせ、捕まりそうになったイザナギが桃の実を投げると鬼どもが逃げ出したという古事記の神話にも反映されている。イザナギが投げた桃の実は霊力を持っているので、古事記の神話は中国から桃が渡来したあとに作られたものだろう。
そういえば、長野県の喬木村には韓国神社(からくにじんじゃ)という古い神社があるが、あれはどういういわれがあるのだろう。
写真はヤマモモの実
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