藍画廊のしばた みづき展「―みることについて―」を見る

 東京銀座の藍画廊でしばた みづき展「―みることについて―」が開かれている(8月4日まで)。これは「新世代への視点」の一環で、銀座・京橋などの11の画廊が企画して、40歳以下の作家を取り上げて開く共同個展だ。藍画廊はしばた みづきを取り上げている。





 しばたは1987年東京都生まれ、2011年に東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、2014年に同大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画研究分野を修了した。その後海外留学を経て、現在東京芸術大学大学院博士後期課程美術専攻油画研究領域に在籍している。
 今回の展示は水粘土で作った立体を並べたインスタレーションを展開している。これらの作品はすべてこの画廊で作ったものだという。水粘土で作っているので乾いて一部崩落したのもある。会期が終わったらまた粘土に戻し再利用するという。
 今まで、「行く先々の土や出会ったものを使ってつぼなんかをつくっている」という。過去には海外も含めて80カ所ほどで、その土地の土や水で壺などを作り、それを写真などで記録したあとはそこにそのまま置いてくるのだ。今回の展示も含めて制作した作品の保存をほとんど考えていないようだ。それはパフォーマンスに近いようだけれど、作品が作られるという面で純粋なパフォーマンスとも微妙に異なっている。作家が望めば作品は保存されうるのに、あえて放置する、保存しないことを選択しているのだ。
 記録はしているが、まだそれらをまとめて発表したことはないという。すでに80カ所以上でその行為をしてきているのなら、そろそろどこかでその記録を発表しても良いのではないだろうか。今回作品を見て作家の話を聞くことによって、かなりユニークで興味深い作家であることが理解できた。ぜひ、そのような個展を企画してほしい。



 なお、右奥の小部屋の壁面にはワインのコルク栓で作った小さな壺が展示されていた。
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しばた みづき展「―みることについて―」
2018年7月23日(月)―8月4日(土)
11:30−19:00(最終日18:00まで)日曜休廊
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藍画廊
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル2F
電話03-3567-8777
http://igallery.sakura.ne.jp/