山本弘「てるてる坊主」、油彩、F30号(72.5cm×60.8cm)
1977年制作。サインなし。30号と山本にしてはやや大きいサイズだ。てるてる坊主が描かれている。両目の目頭から涙が流れているように見える。頭の右側にあるのは太陽だろうか。てるてる坊主にしては細身で背の高いシルエットだ。複雑な色彩がキャンバス上で重ねられている。生乾きの状態で絵具を塗り重ねているように見えるが、長谷川利行と異なり絵具が濁っていない。複雑な中間色を自在にコントロールして作品を構成している。俺は色が巧いんだと言っていたが、そのとおりのカラリストだ。
てるてる坊主は腕がなかったけど、これは両腕があるようにも見える。キャンバスの裏に「てるてる坊主」と書かれているが、山本の字ではないようにも見える。何なのだろう? 何を泣いているのだろうか?