山本弘「骸骨(仮題)」、油彩、F12号(60.5cm×50.0cm)
1977年制作。題不詳だが明らかに骸骨が描かれている。あぐらを組んだ骸骨が頬杖をついている。山本の好きな色彩、ネギの色が太い筆触で周囲に描かれ、体の部分にも塗られている。下方のバッテンがスネの骨だろう。頭の横の太く白っぽい荒い筆触が頬に当てた手を表わしているのだろう。あばら骨や骨盤を表わしている中央の白い絵具の両脇に太い縦棒が引かれている。これが両腕だろう。
山本は好んで骸骨を描いていた。「骨の踊り」と題された50号の大きな作品もあった。骸骨を描いているが、それがいつも楽しく描かれている。少なくとも悲惨な様子や陰惨な様子では描かれない。山本は骸骨をプラスの価値観でとらえていたのではないか。
地味な色彩でありながら山本の色は美しい。まさにカラリストと言えるだろう。