『もっと知りたい 熊谷守一』を読む

 池田良平・蔵屋美香『もっと知りたい 熊谷守一』(東京美術)を読む。副題が「生涯と作品」。初期から作品をたどり、昭和14年、59歳の頃、輪郭線を赤い線で描き、その線を塗り残す方法、いわゆる「モリカズ様式」が確立したという。
 輪郭の中を塗りつぶし、輪郭の外も塗りつぶす。輪郭線と色面で構成される絵画。それは山口長男や笠井誠一などに影響を与えたのかもしれない。だが、熊谷守一スクールができたわけではない。熊谷の影響は大きくはない。モリカズ様式という確固としたスタイルを確立し、日本の絵画史に残る画家になったのは事実だ。
 熊谷守一が二流の画家だとは思わない。一流の画家の仲間だろう。しかしその中ではB級に属するのではないか。かなり粗雑な言い方になってしまうが、B級という分類には、例えば笠井誠一や赤瀬川原平宇佐美圭司小磯良平高松次郎・・・なんかも入るだろう。中西夏之や山口長男なんかはA級に分類したい。そういったB級だから決して悪い訳ではないが。
 手元には2004年に愛知県美術館で開かれた「熊谷守一 木村定三コレクション展」の図録がある。それも参照し、先日東京国立近代美術館熊谷守一展を見て、いままた本書を読んで、熊谷守一の位置づけについてそんなことを考えた。