東京国立近代美術館で熊谷守一展が開かれている(3月21日まで)。熊谷は1880年生まれ、1977年に97歳で亡くなっている。高齢まで生きたが、熊谷らしい作品を描くようになったのは60歳くらいからだ。
熊谷ははっきりした輪郭線を描いていて、輪郭線に縁どられた部分をわりあい平滑に塗りつぶしている。輪郭線を描いた絵を見て、山口長男を思い出した。山口も中期のころ、山の稜線を太い赤色で輪郭線のように描いていた。もちろん熊谷の輪郭線が先にあり、山口がそれに強く影響されたのだろう。
熊谷と山口の二人のデッサンが下手なのも共通している。二人とも巧さと別次元を選んで、晩年の大きな達成に到達している。そういう意味でも、山口は熊谷を研究し、強い影響を受けたのではないだろうか。
ほとんど小品だが点数が多く、見ごたえのある展覧会だった。
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熊谷守一展「生きるよろこび」
2017年12月1日(金)―2018年3月21日(水)
10:00−17:00(金土は20:00まで)月曜日休館
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東京国立近代美術館
東京都千代田区北の丸公園3-1
電話03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://kumagai2017.exhn.jp/