日本橋高島屋6階美術画廊Xの重野克明展を見る





 東京日本橋高島屋6階美術画廊Xで重野克明展「ザ・テレビジョン」が開かれている(1月29日まで)。重野は1975年千葉市生まれ、2001年に東京芸術大学油画専攻を卒業し、2003年に同大学大学院版画専攻を修了している。2000年に東京銀座の青樺画廊で初個展、以来77ギャラリーや高島屋美術画廊Xなどで個展を繰り返している。
 今回は自宅の片隅に置かれたテレビをテーマに、水墨のドローイングを主体に展示している。画廊で販売しているリーフレットに寄せた重野の言葉。

 この夏、テレビで高校野球を観ていたら思いの外面白い試合が多く目が離せなくなった。創作をしなくてはいけないと思いつつ、ついテレビの前に釘付けになってしまう日々。とにかく手を動かさねばと思い、テレビを観ながらテレビを描いてみる。……
「そうだ、テレビを描こう!」一石二鳥だ。案外集中出来る事がわかり高校野球だけでなくドラマやニュースやバラエティ等も観ながら描いてみる。やがてその内容は断片的になってくる。テレビはインターネットなんかよりも健全だなと思う。他の事もやりながら観れるし自分に興味のないものも流れてくるから。自分の周りにはテレビを観ている人が少ないようだ。皆忙しいからか、嫌いなのか? 結構おもしろいのにね。作品は実際に観た事、その時の部屋の様子、感じた事を描いています。
 自分の番組を作るとしたら局名は「テレビ重野」。

 とにかく面白い個展だ。和室の片隅にテレビが追空かれている。そこにはトランプ大統領黒柳徹子などが映っている。テレビの前にちゃぶ台があり、食器が載っていたり、猫が座っていたりする。

 ギャラリー奥の壁に大きな銅版画が展示されている。タイトルは「大統領」とあるが、リーフレットには、「部屋とTシャツとトランプと私 世界情勢にも気を配る」とある。なるほど、テレビにはトランプが映っていて、中指を立てて怒っているようだ。「私」は腕組みをして椅子に座っている。壁にはアニメの少女が描かれたTシャツが吊るされている。畳の敷かれた和室だ。
 ユーモアたっぷりの重野の個展は万人におすすめです。
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重野克明展「ザ・テレビジョン」
2018年1月10日(水)―1月29日(月)
10:30−19:30
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日本橋高島屋6階美術画廊X
東京都中央区日本橋2-4-1
電話03-3211-4111