東京京橋のギャラリー椿で夏目麻麦展「Nights Out」が開かれている(10月21日まで)。夏目は1971年生まれ、1998年に多摩美術大学大学院を修了している。その年にギャラリーQで初個展、以後ベルギーや東京の西瓜糖、藍画廊、Porte de Paris、ギャラリー椿などで個展を行っている。
縦長の画面に一人の人が立っている。輪郭があいまいだがいずれも女性のように見える。スカートの裾をひるがえして踊っているような、何か戸惑っているような、叫んでいるような、または笑っているような人物が描かれている。輪郭があいまいでその動作について断定しがたい。しばしば背景の色彩に溶け込んでいる。夏目は色彩が美しい。その美しい色彩を表現するために絵を描いているのではないかとも思えるほどだ。しかし同時に人物の動きを描くことによって正統的な絵画の嫡子であることを示している。
今回の夏目の作品を見て、色彩の画家ボナールへの親近性や、また輪郭をあいまいにして動きを表現する点からベーコンへのオマージュを感じた。夏目はボナールやベーコン、またデュマスなどが好きなのではないか。
初個展からもう20年近い。優れた新人画家のつもりでいたが、もう立派な中堅画家になっていた。それも正統派の画家と言えるのではないか。初個展以来ぶれずに油彩による色彩を追求している。ほぼ2年に1回の個展を続けてきているが、できたらもっとたくさん描いて見せてほしい。
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夏目麻麦展「Nights Out」
2017年10月7日(土)―10月21日(土)
11:00−18:30(日曜・祝日休廊)
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ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
電話03-3281-7808
http://www.gallery-tsubaki.net