銀座K'sギャラリーの田中みづほ展を見る

   


 東京銀座の銀座K'sギャラリーで田中みづほ展が開かれている(9月2日まで)。田中ははじめキルト作家として出発し、2003年から美術作家に転向したと画廊の壁に貼られた簡単な略歴にある。フランスの「ル・サロン展」や「サロン・ドートンヌ」に出品していたが、やがて自由美術に出品するようになる。初個展は2004年のK’sギャラリーで、以後同ギャラリーで複数回個展を開き、また青山のサロンドフルールでも何回も個展を開いている。
 ふだんは抽象的な平面作品を作っているが、今回はそのほかに紙で作った立体作品を2点展示している。これがとても良かった。小さい方は高さ約25センチ、ティッシュペーパーと木工用ボンド、キツネの毛皮で作っている。大きいものは高さ約60センチ、前記にさらに羽毛を使っている。




 平面作品は考えながら描いているというが、立体は考えなくても簡単にできてしまうという。つまり計算されない田中の内面が自然に表出されているということなのだろう。現実に目の前にたたずんでいる田中は品のいい女性だ。むしろ奇矯さなどどこにもない普通の女性作家に見える。事実その通りなのだろう。
 それが立体作品では草間彌生顔負けの女性性が立ち現れている。白い紙で作られていなければ凝視しがたいとも思わせるほどのストレートな表現だ。そのことに作家は気づいていないのではないか。無意識でここまで作ってしまうのが一層素晴らしいと思う。



 次回はぜひこの路線で大きな立体を作って見せてほしい。
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田中みづほ展
2017年8月28日(月)〜9月2日(土)
月〜木12:00−19:00、金12:00−20:00、土11:30−17:00
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銀座K'sギャラリー
東京都中央区銀座1-13-4 大和銀座一ビル6F
電話03-5159-0809
http://ks-g.main.jp/