藍画廊の矢成光生展-Something in The Air-を見る


 東京銀座の藍画廊で矢成光生展-Something in The Air-が開かれている(4月29 日まで)。矢成は1969年、愛知県生まれ。もっともDMには千葉県出身と書かれている。1997年に多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻を修了している。1996年にギャラリーQで初個展、以来西瓜糖、Oギャラリー、Steps ギャラリーなど個展を開催している。また国内各地のグループ展に参加している。


上記作品の一部



 矢成は現代の日本を伝統的な洛中洛外図の手法で描いている。大きな画面に細密な都市を描きこみ、それを金雲(すがれ霞)で覆っている。金雲は場面のつなぎや異なる位相を結ぶ機能をもっている。矢成の金雲はそのことよりも、むしろ金雲を画面の中心に置いているように見える。ゲシュタルトの地と図の逆転にも似ている。矢成の都市図をよく見ると、東京タワーや都会の風景が細密に描きこまれている。本来これが図となる。地の上に図が置かれているのが普通だが、金雲は図の上を覆って描かれている。単純な地と図の関係に嵌め込みにくい。だが地の機能と似ていると概ね言いうるだろう。つまり金雲は本来脇役なのだ。
 ところが矢成の作品では地の性格をもった金雲が主役になっている。極論すれば、抽象表現主義的な地=金雲の向こうに精密な都市図が透けてみえるという構造だ。なかなかおもしろい作品だと思う。左右5メートル近くあり、コンパクトデジカメでは正面から写すことができなかった。
 小品も多く出品されており、いずれも魅力的だ。ご覧になることをお勧めする。
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矢成光生展-Something in The Air-
2017年4月24日(月)−4月29日(土)
11:30−19:00(最終日18:00)
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藍画廊
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル2F
電話03-3567-8777
http://igallery.sakura.ne.jp/