フランス国務院副院長ジャンマルク・ソヴェが憲法について語っている(朝日新聞、12月2日付け「オピニオン&フォーラム「憲法の価値を守るもの」)。
フランスの国務院の役割は、政府提案の法律が憲法や国際条約に照らして適当か否かを答申したり、行政裁判の最高裁として判決を下したりすることです。(中略)
国務院は行政の一部ですが、意見や決定は政府や議会から独立しています。さらに重要なのが世論からも独立していること。国務院の決定文書の冒頭は常に「フランス人民(国民)の名において」と書かれていますが、私たちが言う「人民」とは世論ではない。えてして世論は市民の自由の制限をもたらします。世論の熱狂や激情にくみしてはならない。私達は散々痛手を被ったはずです。
「えてして世論は市民の自由の制限をもたらします。世論の熱狂や激情にくみしてはならない」。日露戦争直後の暴動「日比谷焼討事件」を連想した。
また白波瀬佐和子『生き方の不平等』(岩波新書)の一節も。それは、
……人びとの意識をもって政策目標とするのは危険です。なぜなら、人びとの意識の背景にある制度や構造のメカニズムを明らかにせずに、なぜ人びとがその意識を持っているかを明らかにすることはできないからです。政策対象としてまず着目すべきところは人びとの意識ではなく、その背景、あるいはその基層にある諸制度であり、構造でなくてはならないのです。(p.133)
さらにリュシアン・ゴルドマンの「可能意識」も参考になるだろう。