大江健三郎『定義集』を読む

 大江健三郎『定義集』(朝日文庫)を読む。2006年から6年間、朝日新聞に月1回連載したものを2012年単行本にまとめ、今月文庫本化された。文庫本で1回4ぺージ、400字詰め原稿用紙で6〜7枚分になる。それが71回分載っている。様々な話題が取り上げられているが、沖縄関係や原発関係、小説を書くことなどが多く語られる。
 教えられることが多く、単行本でも読んでいたが、有益な読書だったと感じられた。とは言うものの4ページで十分に表現するのはなかなか大変なことだろうとも思われる。もっとも朝日新聞に月1回掲載していた先輩は加藤周一で、それをまとめた『夕陽妄語(せきようもうご)』(ちくま文庫)と比べれば、加藤も1回4ページだが大江より話題も広く深い印象がある。
 4ぺージ=原稿用紙6〜7枚は表現するのに短いと書いたが、読売新聞の書評委員を2〜3年務めた宇宙物理学者の須藤靖が、どんなことも原稿用紙3枚あれば書けるようになったとうそぶいていた。
 自戒を込めて、分量に制限のないブログをだらだら書き続けるのは反省しないといけないだろう。簡潔に書くこと!


定義集 (朝日文庫)

定義集 (朝日文庫)