山本弘の作品解説(53)「(題不詳:顔?)」


 山本弘「(題不詳:顔?)」、油彩、F6号(41.0cm×24.2cm)
 制作年不明。サインが漢字の「弘」だし、作風からおそらく1970年代後半ころか。(1970年代初期にサインが「Hirossi」から「弘」に変わっている。最晩年には「ヒロシ」も使われたが)。
 人の顔を描いている。後ろ髪を二つに束ねているように見えるので女の顔だろう。これから連想するのは緑川俊一の描く顔だ。よく似ているが、もちろん山本も緑川もお互いを知らない。何しろ40年ほど前の作品だ。ムンク「叫び」も思い出される。これは少し意識していたかもしれない。
 パレットナイフを使って顔を単純化して描いている。これを見ると山本の作風が多様性を持っていることが分かるだろう。
 現在行われている銀座K'sギャラリーでの山本弘展に展示されている。