ギャラリーなつかで「たまびやき」を見る

 東京京橋のギャラリーなつかで「たまびやき」が開かれている(10月1日まで)。「たまびやき」は、毎年ギャラリーなつかで開かれる多摩美術大学工芸学科/陶/選抜作品展だ。今年は第8回になり、参加している作家は、安藤優、石井あや子、大井真希、太田浩子、玖島優希、増田結衣、水谷汐梨の7名。


大井真希:大きな複雑な形。たくさんの曲面が絡まり合っていて、構造が分かりにくい。今後の展開が期待できそうだ。



安藤優:狛犬を表現しているという。今回唯一の男性。どこか「男」を感じさせる造形。


玖島優希:壁面に設置された3つの作品。一見タブローにも見えるような形。陶でこんな形を作った作家は今までいなかった。ある意味、不思議な造形だ。

太田浩子:壺のような形態だが、きわめて小さい口が一番上に開いているだけ。これでは壺の機能は果たせない。壺に似た形のオブジェ。



増田結衣:小品が並んでいる。日常に使われる食器などに見えるが、いずれも機能しない。頭に取っ手があっても蓋になっていない。土瓶のようだが注ぎ口がない。だまされそうな形だ。


水谷汐梨:今回の中で一番純粋なオブジェともいえる。きれいな形態をしている。水谷は骨壺と言っているがちょっとだけペニスを連想した。

石井あや子:一番変な作品。形としてはヘッドフォンなのだが、メジャーが伸びている。これは通学電車の中で他人がそばに密着するのが嫌で、メジャーの数字45cm離れてほしいことを表しているという。「持ち歩く縄張り」と言っている。まさにアメリカの社会学者T. E. ホールの『かくれた次元』の内容を造形化したような作品だ。
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「たまびやき」
2016年9月26日(月)−10月1日(土)
11:00−18:30(最終日は17:00まで)
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ギャラリーなつか
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1階
電話03-6265-1889
http://homepage2.nifty.com/gallery-natsuka/

かくれた次元

かくれた次元