今朝の朝日歌壇に4人の選者に選ばれた2人の囚人の4首の短歌が掲載された(朝日新聞、9月19日)。
まず殺人罪によってアメリカの獄舎で終身刑となっている郷隼人。2人の選者が2首を選んでいる。
灼熱の午後の獄庭(ヤード)の上空を旋回(パトロール)せしは禿鷹三羽
法螺(ほら)を吹く囚徒が一匹おりまして変化乏しき中で人気あり
灼熱〜は高野公彦の、法螺〜は永田和宏の選。
もう一人の十亀弘史は新左翼だった人。長い裁判の判決が確定して今年収監された。ひたちなか市在住とあるのはどこの獄舎か。3人の選者が2首を選んでいる。
口角をあげて鏡の我を見る笑い少なき独居坊にて
職員の目を盗んでは場馴れせぬ我に手を貸す若き囚人
口角〜は佐々木幸綱と馬場あき子が、職員〜は永田和宏が選んでいる。
死刑囚の歌人では連合赤軍だった坂口弘が優れた歌を詠んでいる。三菱重工ビル爆破で死刑宣告を受けた大道寺将司は俳句だが、非凡な句を詠んでいる。獄舎では自分の内面を深く見つめることになるので、囚人は優れた歌人俳人になるのだろう。皆ではないのだが。
・十亀弘史の短歌と俳句(2016年5月10日)
・朝日歌壇の入選作から郷隼人と坂口弘(2009年9月30日)
・朝日歌壇に掲載された坂口弘の短歌I(2007年6月9日)
・朝日歌壇に掲載された坂口弘の短歌II(2007年6月10日)
・『棺一基 大道寺将司全句集』を読む(2012年8月24日)
・大道寺将司句集『残の月』を読む(2016年1月28日)