ギャラリーHasu no hanaの立原真理子展『帳と青』を見る

 東京大田区鵜の木のギャラリーHasu no hanaで立原真理子展『帳と青』が開かれている(7月19日まで)。立原は1982年茨城県生まれ、2006年に女子美術大学芸術学部洋画専攻を卒業し、2008年に東京芸術大学大学院美術研究科修士課程を修了している。2007年に銀座のフタバ画廊で初個展を開き、その後2012年に巷房2と階段下で、2013年に藍画廊、2014年にHasu no hanaと藍画廊、2015年にPicaresqueギャラリーで個展を開いている。
 今回のカタログに立原のものらしい言葉が綴られている。

蚊帳の中に横たわり、その深い青緑色の境界線を眺めていると、渺茫たる奥行きが浮かぶ
川のこちら側に居る時、向こう側はとても広いし
鳥居のこちら側に居る時、あちら側は果てしない




 ギャラリーの真ん中に蚊帳が吊られている。その蚊帳に刺繍が施されている。今まで立原は刺繍という方法で絵を描いてきた。その支持体にはしばしば網戸が使われてきた。今回選ばれた蚊帳も網戸と共通の性質を持っている。内と外を分け、網戸/蚊帳に描いた図と重ねてその先の風景を借景のように見せることができる。作品に強引に現実の空間を重ね合わせている。いや借景というより立原の意図は、現実空間の中に作品を成立させることなのではないか。作品を取り囲む現実空間も取り込んだものを併せて「作品」としているのではないか。



 その他壁面に数点の平面作品が展示してあった。立原はそれらも併せて画廊全体で一つの作品だと言う。インスタレーションとして見てほしいということなのだろう。しかし、その平面作品、水彩や刺繍糸で描かれた小品がとてもすばらしい。別にファイルに収められた水彩画が画廊に置いてあったが、いずれも高い完成度を示していた。立原は不本意かもしれないがこれらだけの小品展も見てみたいと思わされた。
       ・
立原真理子展『帳と青』
2016年7月9日(土)〜7月19日(火)
月火土日=12:00〜18:00
水金=15:00〜22:00
観覧料400円
       ・
ギャラリーHasu no hana
東京都大田区鵜の木1-11-7
電話03-3759-8470
http://www.hasunohana.net/
アクセス:東急多摩川線鵜の木駅より徒歩1分
改札を出て左方向へ進み、交番がある信号を渡って左折、10メートルほど先の左側