東京京橋のギャラリーなつかで、「そこからの景色」と題した豊泉綾乃と西山ひろみの2人展が開かれている(6月4日まで)。ここでは豊泉を紹介したい。豊泉は1981年埼玉県生まれ、武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コースを修了している。2014年には吉野石膏美術振興財団の在外研修員としてインドに滞在した。2006年に松明堂ギャラリーで初個展、その後ギャラリーなつかでの4回の個展を含め数回の個展を開いている。大学で学んだ版画の展示が多いが、6年前のなつかでの個展は水彩絵具を使ったドローイングで、それがとても良かった。今回は版画と水彩のドローイングを展示している。
水彩で描いた墨絵のような作品がタイの風景を思わせた。豊泉に訊くとやはりタイの風景だった。大きな木に覆われたようなレストランを描いているという。なるほど古い寺院をガジュマルの大木が覆い尽くしたようなタイの写真を連想したのも的外れではなかった。同じような風景を描いた縦長の作品も同一の木と建物を違う角度から描いている。これらがとても素晴らしかった。
ほかの同じ様な風景を描いたドローイングの小品と版画作品が展示されていた。
豊泉が奥からパンフレットを取り出して見せてくれた。インドに滞在している間に描いたインド人の人物像だ。水彩や銅版画だ。これも素晴らしかった。これらの人物画はまだちゃんと発表していないという。どうして発表しないのか? これは過去の作品で、今制作している仕事に興味があるから。本当にもったいない、ぜひ発表すべきだ。
・ギャラリーなつかの豊泉綾乃展が良い(2010年7月28日)
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「そこからの景色」豊泉綾乃・西山ひろみ
2016年5月23日(月)〜6月4日(土)
11:00−18:30(土曜日17:00まで)日曜休廊
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ギャラリーなつか
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1階
電話03-6265-1889
http://homepage2.nifty.com/gallery-natsuka/