いま、北参道が熱い

 東京メトロ副都心線ができて秋山画廊への連絡がとても改善された。今まではJR総武線代々木駅から歩いて10分以上かかっていたのに、北参道駅ができて3分ほどの距離になった。しかも、昨年それまで清澄白河のギャラリービルに入っていた小山登美夫ギャラリーとTaka Ishiiギャラリーが北参道駅の近くに移って来た。正確には北参道駅から秋山画廊へ行く途中のビルに2つのギャラリーがある。同じビルだが、入り口はそれぞれ反対側にあって最初は分かりづらいかもしれない。
 秋山画廊は昔は神田にあったが、だいぶ前に渋谷区千駄ヶ谷の秋山さんの自宅に移転してきた。その際1階をギャラリーにして、モダンな建物に建て替えた。神田にあったときと同じく、意欲的な展覧会を企画している。現代美術の貸画廊としては屈指のところだ。とくに高山登や遠藤利克、小山穂太郎の個展ではここを抜きに語れない。
 現在戸谷森展が開かれている(2月13日まで)。名前の森はしげると読む。画廊に入ると作家がいたが、初めて会ったはずなのに古い知己のような感じがした。なんだか40年前の戸谷成雄が現れたようだった。作品は父親の木彫とは異なり、ちょっと変わったタブローで、撮影してこなかったので秋山画廊のホームページで確認してほしい。着彩された小品「水漏れ」が展示されていたが、それはどこか越前谷嘉高を思い出させた。
 Taka Ishiiギャラリーでは杉浦邦恵展が開かれている(2月27日まで)。杉浦はフォトグラムという技法で作品を作っている。展示されていた「子猫の書類」というのは1990年代の作品で、「2匹の子猫は暗室の感光紙の上に一晩中ほっておかれた。朝、感光紙は露出され、定着された。その過程は7晩くりかえされた」とある。カエルや鳥を同様に写し取った作品もあった。1990年代に銀座にあった鎌倉画廊で同様の作品を何度もみたことを思い出す。
 小山登美夫ギャラリーでは工藤麻紀子展が開かれている(3月5日まで)。画廊にあったちらしより、「工藤麻紀子の絵画には、彼女が日常生活で出会ったものと、夢で見た世界のようなイマジネーションが混然一体となった不思議な心象風景が広がります。ダイナミック且つ繊細な筆致、バランスの取れた鮮やかな色彩、そして複数の場面とパースが同時に展開する大胆な構図によって、カオティックな躍動感に満ちています。(後略)」とある。
 Taka Ishiiのスタッフも、こちらに移転して来客が増えましたと言っていた。北参道は、秋山画廊とTaka Ishiiギャラリー、小山登美夫ギャラリーが一度に味わえる熱い領域になっている。
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秋山画廊
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-7-6
電話03-3401-9505
http://www.akiyama-g.com
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小山登美夫ギャラリー
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-10-11
http://www.tomiokoyamagallery.com
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Taka Ishiiギャラリー
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-10-11
http://www.takaishiigallery.com