コバヤシ画廊の野沢二郎展「遠ざかる風景」を見る

 東京銀座のコバヤシ画廊で野沢二郎展「遠ざかる風景」が開かれている(11月28日まで)。野沢は茨城県生まれ、1982年に筑波大学大学院を修了している。これまで「VOCA展'97」や同年の「バングラディシュ.アジア美術ビエンエーレ」に参加し、2012年はDIC川村記念美術館の企画展「抽象と形態」にも選ばれた。ここ銀座のコバヤシ画廊では2000年以降毎年個展を開いている。
 昨年に続いて今年の野沢の画面も暗い沼の動きの少ない水面を描いているように見える。沼の水面に木漏れ日のような白い光が映っているようだ。
 野沢は抽象的な空間を追求してきて、暗い水面にたどり着いたようにも思える。暗い水面は具体的なものを映し出すことはない。すると、それは限りなく平面=2次元に近いと言えるだろう。そのようにして野沢は風景を描くところへ近づきつつあるのだろうか。暗い水面と書いたが、それは繊細な色調を表していて、野沢が優れた色の使い手であることを示している。



       ・
野沢二郎展「遠ざかる風景」
2015年11月23日(月)〜11月28日(土)
11:30〜19:00(最終日17:00まで)
       ・
コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/