奥村浩之彫刻展「大地の詩」がおもしろい


 東京お茶の水のギャラリーf分の1で奥村浩之彫刻展「大地の詩」が開かれている(10月24日まで)。奥村は1963年石川県生まれ、1986年に金沢美術工芸大学彫刻科を卒業し、1988年に同大学大学院修士課程を修了している。その翌年メキシコに渡り、以来メキシコ在住で今日に及んでいる。個展は数多く行ってきたが、ほとんどメキシコ、アメリカ、フランスのギャラリーだった。日本での初個展は一昨年にこの同じ画廊で行っていて今回が2回目になる。
 メキシコは大理石が産出するので大理石を使った彫刻を行っている。今回もメキシコで制作して日本に運んできた。画集を見せてもらったが、大きな作品が多い。今回の個展はだから小品展みたいなものかもしれない。送るのは大変だったでしょうと訊くと、すべてばらばらになるので分解して持ってきたからそんなでもなかったとのこと。
 4点が展示されているが、いずれも優れた造形だ。大きな作品も見てみたいと思い、日本で制作して発表することはできないか尋ねたが、それは難しいという。
 DM葉書にも取り上げられている4本の棒状のメキシコ玄武岩を使った作品「杜の響」がおもしろい。半円形のメキシコ黒大理石を重ねた「共鳴」も印象に残る。ローマの遺跡のような形のメキシコ赤大理石を彫った「時の詩」も大きな景色を表している。
 もっと知られて良い彫刻家だと思う。

杜の響

共鳴

時の詩

南風
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奥村浩之彫刻展「大地の詩」
2015年10月14日(水)〜10月24日(土)
11:00〜18:30(日曜・最終日は17:00まで)月曜休廊
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ギャラリーf分の1
東京都千代田区神田駿河台1-5-6 コトー駿河
電話03-3293-8756
http://www.galleryf-1.net
JRお茶の水駅 御茶の水橋口改札より徒歩5分ほど。
丸の内線 御茶の水駅および千代田線 新御茶の水駅よりそれぞれ徒歩5分ほど。