東京日本橋堀留町のギャラリー人形町ヴィジョンズで古橋紀子展「わたしのあしもとに」が開かれている(8月1日、今日まで)。古橋は1982年東京生まれ、2002年にアメリカに渡り語学の勉強を始める。2005年に大学で美術に専念し始め、2007年ハンボルト州立大学美術学部卒業、2011年イリノイ大学アーバナシャンペン校大学院金工学科を修了。2013年以降、ニューメキシコ州立大学にて金工・ジュエリーを教えている。
今回の展示に関して古橋の提示するテキスト。
日常生活の中で何気なく通っている道。どこに行くにも、どんな時でも避けて通れない、色々な場所にわたしをつなげてくれる場所。見た目では見えないけど、一つ一つ、いろんな出来事があったり、いろんな人が共有してきた“道”に視点を置いてみました。
画廊の右の壁に何やら巻き取ったようなオブジェが掛かっている。半透明のビニールテープを巻き取ったような形だ。直径は数十センチほどあるだろうか。作家に訊くと道路などに粘着テープを貼っていき、それを巻き取ったものだという。冒頭に掲げたDM葉書の写真が、テープを貼っているときの様子だ。これらのオブジェには採取地の場所名が、Ageo、Ishikawa、Aichi、Isewanなどと書かれている。古橋の実家がある上尾市、石川県、愛知県、伊勢湾などだ。このテープのオブジェには、道路などにテープを貼っているので、ゴミのような木屑や小石などが絡まっている。通り過ぎてそのまま記憶から消えてしまう「道」の痕跡をモノとして記録する作品になっている。
以前、銀座のギャラリー現で個展を行った内山聡の仕事に少し共通するものがある。
・ギャラリー現の内山聡展が興味深い(2012年7月24日)
内山は幅18mmの紙テープを同心円状に巻いて、直径2m近い円形のオブジェを作っていた。内山の作品は、長さ30km以上にも及ぶテープという物質の集積と、それを巻くのに要した時間の集積、つまり物質と時間の集積を表現していた。表現は似ているが二人のコンセプトは違っている。
ギャラリーの左側の壁面にはフロッタージュの作品が並んでいた。やはり地面に紙を置き、チョーク? クレパス? で(聞きそびれた)型取っている。
正面の壁には動画が投影されている。Googleのストリートビューの画像を1枚1枚撮って、それを動画のようにつないだものだという。1枚の画像が0.5秒ほど、道路は繋がっているがそこを走っている自動車は一瞬で消え去っていく。
今回の展示はたった3日間しか開催されない。やはり最低1週間は開催してほしい。
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古橋紀子展「わたしのあしもとに」
2015年7月30日(木)−8月1日(土)
12:00−19:00(最終日17:00まで)
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Vision's 人形町ヴィジョンズ
東京都中央区日本橋堀留町2-2-9 ASビル1階
電話03-3808-1873
http://visions.jp