宮崎静夫さんが亡くなった

 画家の宮崎静夫さんが4月12日、88歳で亡くなった。シベリアに抑留された体験を持ち、それをテーマに描いていた。一度個展会場で話したとき、同じく俘虜を体験してシベリアシリーズを描いて評価の高い香月泰男の作品のことを、シベリアの体験はあんなものではない、自分の絵画の方が本当のシベリアだと言っていた。
 宮崎は1927年熊本県生まれ。昭和17年15歳で満蒙開拓青少年義勇軍に志願して満州へ渡る。昭和20年17歳のとき関東軍へ現役志願するが、間もなく終戦、10月にソ連軍の捕虜としてシベリアへ抑留され、4年間の苛酷な俘虜生活を送る。帰国してしばらくしてから海老原喜之助に師事し絵画を学ぶ。昭和45年に1年間渡欧した。銀座のみゆき画廊で何度も個展を開く。
 宮崎は『絵を描く俘虜』(石風社)で生い立ちやシベリア体験をエッセイに綴っている。
 「つなぎ美術館」というサイトに宮崎が紹介されていて、「道標」と「とり」の画像が掲載されている。そこにある「道標」の解説は宮崎の画業をよく捉えている。
http://www.kumashoko.or.jp/tunagi/art.html

この作品は1970年「夏の花」よりはじまる<死者のために>シリーズの中の1つです。 このシリーズにおいて、作者の故郷阿蘇の原野とも見てとれるシベリアの原野、軍靴、頭蓋などのモチーフは繰り返し表れますが、 この作品では、風上を見つめるカラスが大変特徴的です。焼け落ちた建物をはじめとした全く「生」を感じさせないモチーフの中に、死の象徴と言われるカラス。 この道標の先には一体何があるのでしょうか。

 宮崎の作品をまとめて見てみたい。


絵を描く俘虜

絵を描く俘虜