ガブリエル・オロスコ展でヘンな自動車を見た

 東京都現代美術館でガブリエル・オロスコ展が開かれている(5月10日まで)。オロスコについて東京都現代美術館のホームページでは、

ガブリエル・オロスコ(1962-メキシコ生)は、1990年代前半から現在まで国際的に活躍している現代美術を代表するアーティストの一人です。
オロスコは、路上に打ち捨てられた物や何気ない風景の中から魅力的なかたちを発見したり、それらにほんの少し介入してかたちを変えたりして作品に転換します。日本庭園で石や砂を水の流れに見立てるのにも似た事物の新たな読み替えは、見る者にそれを読み解く楽しさを与えます。地域性や政治性を排除したユニバーサルな彫刻や、さりげないスナップショットのような写真は、90年代の現代美術を語る上で欠かせないものであり、現在活躍する日本の若手アーティストにも大きな影響を与えています。
人工物でも自然物でもこの世の事物はすべて、これまで移動したりかたちを変えたりしてきた内なる時間を有しています。事物と事物とが時に交わり、また離れるといったことを繰り返し、宇宙の中で万物が流転し循環するその様をオロスコは捉えます。(後略)




 会場に変な形の自動車が展示されていた。タイトルが「La DS−−変型した車」というもので、配布されたちらしに解説があった。

デビュー間もない1993年、オロスコは1950年代製のシトロエンDSを変型させた《La DS》をパリの画廊で発表して大きな話題を呼びました。日常にある既成(レディメイド)のものに手を加え、介入し、別の物に見立てた、オロスコの代表作として知られています。シトロエンDS(デーエス=フランス語で女神の意)はフランスの大衆車で、スピードが尊ばれた20世紀の文化的な象徴であり、F1レーサーに憧れたオロスコ自身の子供時代の記憶とも結びついています。彼はそれを三分割して真ん中を取り除き、丁寧に貼り合わせ、細長いフォルムの2人乗りの車に作り変えました。車のようで、もはや動くことのできない別のものとなったこのオブジェは、見る人や見る角度によって様々に異なる見え方がなされます。本作は93年に発表した水色のDSと同じ手法で、20年後に珊瑚色(ガーネリアン)のシトロエン車で作られたものです。かつて物理的にも、それにまつわる文化や表象をも切断して再構築したように、オロスコは彼自身の「代表作」を一度解体して新しく再生させました。

       ・
ガブリエル・オロスコ展
2015年1月24日(土)−5月10日(日)
10:00−18:00(月曜日休館)
       ・
東京都現代美術館
東京都江東区三好4-1-1
電話 03-5245-4111 (代表)
03-5777-8600 (ハローダイヤル)
http://www.mot-art-museum.jp/