ギャラリーQの八木緑日里展が興味深い

 東京銀座のギャラリーQで八木緑日里展が開かれている(2月14日まで)。八木は1989年東京都生まれ、現在女子美術大学大学院修士課程工芸〔陶〕研究領域に在籍中。今回が初個展となる。緑日里は「みかり」と読む。





 八木は陶で大きな山羊を作っている。メインの作品は重さが80−90kgもあるという。とにかくダイナミックな造形だ。作品から男の作家と間違われるというのもうなずける。山羊は仰け反るようなポーズを取っている。胸が大きく厚く、なんだか麒麟や獅子のような伝説の動物のようだ。体表の毛も一筋一筋作られていて荒々しい。別の小さな作品も反り返った角が体に比べてとても大きく、ユーモアと同時に威厳をも感じさせる。またヒグマが鮭をくわえている作品もある。
 これらが陶の作品なのだと改めて考えれば驚いてしまう。陶の作品は普通もっと穏やかなものだ。小さかったり繊細だったりきれいだったりする。陶でこのような表現はあまりないだろう。
 会場にいた作家と話せば普通のお嬢さんだ。しかし、このような表現をするのは内面に激しいものとユーモアを併せ持っているのではないか。結局、作品は作家の個性を表すものなのだ。
 京橋にあるLIXILギャラリーのガレリアセラミカは陶作品専門のギャラリーだ。ここ数年の若手作家の傾向は、繊細で複雑な造形が多かった。それらを見てきた経験から、山羊の作品には多少なりとも度肝を抜かれたのだった。
 陶を使ってこんな造形をする若手を知ったのは楽しかった。次の展開も期待しよう。
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八木緑日里 山羊展
2015年2月9日(月)−2月14日(土)
11:00−19:00(最終日17:00まで)
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ギャラリーQ
東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3階
電話03-3535-2524
http://www.galleryq.info