マキイマサルファインアーツの柳楽晃太郎がすばらしい

 東京浅草橋のマキイマサルファインアーツで「織ー男三人展ー」が開かれている(12月21日まで)。「織」をテーマに制作している作家3名によるグループ展。参加しているのは、佐藤将輝、橋本圭也、柳楽晃太郎だが、とくに柳楽がすばらしかった。
 柳楽晃太郎は1983年、岡山県生まれ。2010年に東京芸術大学大学院美術研究科工芸専攻染織を修了している。2009年に東京上野桜木のギャラリーラクール櫻で初個展、その後横浜市や東京目黒の画廊でも個展をしている。今年の夏にはこのマキイマサルファインアーツでも個展をしていたというが私は見逃してしまった。グループ展は越後妻有など各地の企画に参加している。



 マキイマサルファインアーツの1階の部屋に入ると一見タペストリーのようなものが壁に展示されていた。よく見ると上下がネクタイになっている。柳楽にネクタイを解いているのかと尋ねると、解かないで織っているという。それが模様になっているのは、知人たちから寄せられたネクタイを横糸代わりに使い、縦糸(作品では横になっている)に金と黒を使って、それを一定の間隔で交互に織ってこの市松模様を作っているという。
 最初、手塚愛子のタペストリーを解いた作品を連想したが、柳楽の方法は逆に解くのではなく織っている。平野薫も近い作品を作っているが、平野は既成のシャツやドレスを解いている。柳楽の作品は独自性を持っている。誰かに使われたネクタイを素材に使い、そのことによって匿名の男たちの歴史を作品に織り込んでいる。そして柳楽の作品が優れているのは、そのようなコンセプチュアルな作品が造形的にも美しいことだ。


 画廊の2階に上がるとワイシャツを織り込んだ作品が展示されていた。ファイルを見せてもらったが、いままで様々な表現に取り組んでいて、そのいずれも興味深いものだった。
 今回も優れた作家に出会うことができた。今後の展開が楽しみだ。
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「織ー男三人展ー」
2014年12月12日(金)〜12月21日(日)
12:00〜19:00(最終日17:00まで)月曜・火曜休廊
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マキイマサルファインアーツ
東京都台東区浅草橋1-7-7
電話03-3865-2211
http://www.makiimasaru.com