みゆき画廊の淀井由利子展が見応えがある

 東京銀座のみゆき画廊で淀井由利子展が開かれている(11月8日まで)。淀井は1949年東京生まれ、武蔵野美術大学大学院を修了している。個展は今回で20回目となるが、その内みゆき画廊では初個展以来18回を数えている。
 大きな作品が展示されているが、よく見ると6枚の画面が継ぎ合わされている。そしてその継ぎ目がはっきり分かるようになっている。なぜですか? 大きな作品を作って、それを持ち運べるようにしたかったの。布に6枚の紙を貼っているという。布の部分で折り曲げて畳めるようになっているのだ。大きな黄色い画面が迫ってくる。自由奔放に描かれていて圧倒的な迫力だ。見ていてとても心地よい。無条件に楽しい画面だ。


 こんな風に自由に描いてそれが高い達成を示すのは、長く積み重ねた経験の賜物なのだろう。大江健三郎が言う「ハビット habit」人生の習慣、長く仕事を継続してきたことによって自然に身に付いた、困難を乗り越える力。大きな仕事を達成させる能力。大江は『人生の親戚』執筆にあたって、展開に困難を感じた難しい局面で、ハビットによってその困難を乗り越えることができたと、フラナリー・オコナーを引用しながら語っていた。淀井に即して言えば、一見自由に描いて、それが高い達成を示すことになる力。ハビットが備わっているのだろう。
 ベテラン作家の優れた仕事を見ることができた。
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淀井由利子展
2014年11月3日(月)−11月8日(土)
11:00−19:00(最終日17:30まで)
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みゆき画廊
東京都中央区銀座6-4-4 銀座東芝第二ビル2階
電話03-3571-1771
http://miyuki-gallery.com