銀座スルガ台画廊の川越ゆりえ個展を見る

 銀座スルガ台画廊で川越ゆりえ個展が開かれている(11月8日まで)。川越は1987年富山県生まれ。2011年に富山大学芸術文化学部造形芸術コースを卒業し、2013年に同大学大学院芸術文化学研究科を修了している。2012年に同じ銀座スルガ台画廊で個展を開いていた。
 川越は「人の感情はまるで虫のようだ」と書く。「我々の中に潜む、嫉妬や恐れなどの様々な感情は、どこからともなくやってきて人の心に寄生し棲み付き、気付いた時には増殖し、内側から人を喰い、操る。気づいた時にはその感情に支配されているかの様に我々は冷静さを失ったり、落ち込んだりしてしまう」。そのことが虫に似ているといい、感情を虫に象徴させて不思議な昆虫に似たオブジェを作っている。
 しかし、私はこれらのオブジェの元になったものや、それらの感情の造形化が特におもしろいと思ったのではなかった。端的に個々の造形のおもしろさと、それを展示する洗練された形式に興味を持ったのだった。もちろん、これらのオブジェが何に由来するのかは作家にとってのみならず、見る者にとっても興味深いものだ。だが、それ以上に形としてのおもしろさ、展示形式の完成度の高さに興味を惹かれたのだった。




 2年前の展示に比べても作品はずっと洗練されている。素材は吊り下げたときの重量の関係で軽量の紙粘土を使っているという。若くして独自の造形をつかんだ川越に期待したい。
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川越ゆりえ個展
2014年11月3日(月・祝)〜11月8日(土)
11:00〜19:00(最終日17:30まで)
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銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2階
電話03-3572-2828/03-3574-8691
電通通りに平行する1本東側の細い道に面して、みゆき通りと交詢社通りに挟まれた中間。