ギャラリーなつかで「たまびやき」が開かれている

 東京京橋のギャラリーなつかで「たまびやき」が開かれている(9月27日まで)。「たまびやき」は、毎年ギャラリーなつかで開かれる多摩美術大学工芸学科の陶の選抜展だ。いつもは4年生から選抜されるが、今年は一人3年生からも選ばれている。

 今年の印象はぜんたいに元気がいいことだ。やはり同級生たちが影響を与えあっているからだろうか。とくに別室のC-Viewで展示している小松葉月の作品が圧倒的な印象を与える。画廊でもらったちらしに作者の言葉が書かれていて、「私と私を作り上げてくれた家族を作りました」とある。そう言われると、こ、これがあなたの家族か! って仰け反りそうにもなるが、最初の印象は、神社かどこかに置かれているような古い置物のようだなというものだった。仏像とかご神体ではないが、信仰の対象となっている造形物みたいだと思ったから、作者の意図と大きな差はなかったわけだ。それにしてもすばらしい存在感だ。


 折原智江の作品は床に置かれた仮面群だ。左右3メートルもある。「今まで出会った、これから出会うであろう300人の友人と私」とある。大衆の群像を一つの作品にまとめている。大きいが繊細な作品でもある。


 高橋邑木は兎の顔を作っている。しかし、その顔は崩れていたり傷ついているように見える。ちょっと怖い造形かもしれない。化粧品やシャンプーの開発のために、毒性試験の対象になって傷ついている動物をイメージしているようだ。最初に見て、ふと小山田二郎を思い出したのだった。

 清水佑記は壁に設置した細長い棒状の作品を作っている。よく見ると小さな花びらのような形を無数に貼り付けている。花びらのような有機的なものの集合が棒状の作品を作っている。密集して神秘的で肉体的であることが強さを作ると言っている。セクスにしては細長いので、植物の芽生えかと想像した。セラミックという固体がふっと柔らかい有機的な存在を連想させる。

 西島蓮は素朴な子どもの像と球体人形を合体したように不思議な人物像を作っている。これが陶でできているという面白さか。

 宮下怜の作品は大きな飛行機だが、顔の前にステンドグラスのプロペラが付いていて、後ろに回って尻の穴から覗きながらハンドルを回すとプロペラが回って万華鏡が見える。なかなか面白かったが、5月に銀座の十一月画廊で見た今関舞香の個展で、立体の男性像の尻の穴を覗くと万華鏡が見える作品を出品していたのを思い出した。
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「たまびやき」
2014年9月22日(月)〜27日(土)
11:00〜18:30(最終日17:00まで)
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ギャラリーなつか&C-View
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1階
電話03-6265-1889
http://homepage2.nifty.com/gallery-natsuka/