コバヤシ画廊の松本泉写真展「甲冑」がおもしろい


 東京銀座のコバヤシ画廊で松本泉写真展「甲冑」が開かれている(8月9日まで)。これはクワガタムシなど甲虫をデジタルカメラ(キャノンEOS)で撮影したもの。ただ単純に接写したのではなく、ピントの位置を変えて何枚も撮り、それを合成している。この手法自体は特に珍しいものではないが、松本のすごいところは生きている虫でやっていることだ。生きている虫は当然動くことになる。それを何枚も撮るのは想像するよりずっと大変なことだろう。しかも完全なパンフォーカスではなく、頭から手前の脚にピンとを合わせながら、向こう側の脚はボケさせている。機械的即物的な印象を受けない所以だろう。
 松本は1981年に東京芸術大学デザイン科を卒業、1983年に同大学大学院美術研究科を修了し、資生堂に入社してパッケージデザイン、クリエイティブディレクションを担当していた。今年3月に資生堂を退社し、現在フリーランスで活動している。
 松本はデザインを仕事にしてきたためか、発表の場に現代美術のギャラリーを選んでいる。むしろ写真の世界で注目される仕事ではないか。写真表現としてとてもユニークな仕事だと思う。広告や出版の世界でその腕が活かせるのではないだろうか。
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松本泉写真展「甲冑」
2014年8月4日(月)〜8月9日(土)
11:30〜19:00(最終日17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/