椹木野衣『なんにもないところから芸術がはじまる』(新潮社)を読む。雑誌『新潮』に2005年から2006年に連載したものを単行本にしたもの。刊行は2007年だが今まで知らなかった。飴屋法水が24日間、六本木のギャラリーP-House内に作られた180cm角の暗箱にこもった記録、ヘタうまについて、ウィーンに残っている高射砲の台座ともいうべき異様なフラクトゥルム、昭和新山を記録し続けた郵便局長でもあった画家三松正夫、体毛の半分を剃り落として「半刈り」と称してハンガリーへ渡航した榎忠、そして大竹伸朗について等々、12の章で語られている。
まず飴屋法水のパフォーマンスがおもしろかった。24日間の会期中で飴屋が口にしたものが記されている。
・エンシュア・リキッド20缶(1缶250kcal、1日平均208kcal)
・黒砂糖120g(1日平均15kcal)
・わずかの塩
・水1.5Lのペットボトル約6本(1日平均380ccたらず)
さらに排便は1度だけ、尿は1日平均2回だった。
密室にこもったパフォーマンスとしては、Chim↑Pomの水野俊紀が2008年にギャラリーhiromi yoshii内に作った部屋で22日間を過ごしている。そのことは以前このブログで報告したが、飴屋が2005年にすでに同じようなことをしていたとは知らなかった。
・Chim↑Pomの個展「友情か友喰いか友倒れか/BLACK OF DEATH」がすごい(2008年8月17日)
・Chim↑Pomのパフォーマンス終了!(2008年9月1日)
その他の話題もなかなか興味深かったが、大竹伸朗について書かれた章、とくに東京都現代美術館で開かれた大竹の個展に関連した記述はあまり共感することができなかった。大竹の作品て、そんなに評価されるものだろうか。
- 作者: 椹木野衣
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/07/01
- メディア: 単行本
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