藤屋画廊の伊勢あゆみ展が刺激的だ


 東京銀座の藤屋画廊で伊勢あゆみ展が開かれている(3月30日まで)。伊勢は生年も出身地も教えてくれなかった。2012年に多摩美術大学日本画科を卒業し、今年2014年に同大学大学院を修了している。学内でのグループ展に参加しただけで、学外では発表したことがない。だから今回が初個展となる。
 今回の伊勢の個展はほとんど知られていないと思われる。案内のDM葉書を作るのが間に合わなかったとかで葉書がない。雑誌にも紹介されていない。画廊の入っているビルの入口のショーウインドウに展示されている作品を見て伊勢の個展に気づいたのだった。
 画廊の右手の壁に大きな亀の絵がある。太い首を突き出している。ガラパゴス島にいるリクガメに似ている。甲羅から首を出している部分を大きな画面一杯に描いている。この亀の頭が強い印象を与える。
 正面の壁にはこれも大きな若い娘のヌードが描かれている。横たわった娘の腹部が切り開かれ小腸や大腸が飛びだしている。呆けたようにも見える半ば虚ろな眼がこちらを向いている。
 左手の壁にはこれも小腸や大腸が放射状に飛び散った娘のヌードが描かれている。この子は両手が肩からなく、両足は膝から下が切断されている。ちょっと会田誠の雪月花シリーズを思い出す。
 その他大きな金魚の絵、たくさんの鰯の頭の絵、死んだ魚の絵などが展示されている。金魚は誰もが描くような華やかな色が使われていない。内臓が描かれた娘の絵は、幕末の浮世絵師、国芳芳年の影響が強いのだろう。





 画廊に伊勢の描いた葉書大のクロッキー帳が数冊置かれていた。電車内でスケッチされた人が相当多数描かれていた。伊勢の日々の努力の跡が忍ばれた。それらのクロッキーも魅力的だった。
 藤屋画廊は銀座の中央通りに面したビルの2階、メルサの向かいにあり、1階が帽子屋だ。
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伊勢あゆみ展
2014年3月25日(火)〜3月30日(日)
11:00〜18:00(最終日17:00まで)
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藤屋画廊
東京都中央区銀座2-6-5 藤屋ビル2階
TEL&FAX 03(3564)1361
http://blog.goo.ne.jp/fujiyagallery