智美術館の「現代の名碗」展を見る


 菊池寛実記念 智美術館の「現代の名碗」展を見る。展覧会のちらしから、

「現代の名碗」展は、近現代の作家たちによる茶碗を通して、そこに映し出される個性、時代性を展望する試みです。川喜多半泥子(1978−1963)の茶碗をはじめ、石黒宗麿(1893−1968)、加藤唐九郎(1898−1985)、金重素山(1909−1995)、三輪壽雪(1910−2012)、岡部嶺男(1919−1990)など物故の作家から、鈴木蔵(1934−)、鯉江良二(1938−)、十五代樂吉左衛門(1949−)、隠崎隆一(1950−)、金重有邦(1950−)川瀬忍(1950−)、さらに30代の若き作家にいたるまで、およそ40名の作家の茶碗をご覧いただきます。

 私は茶碗についてはよく分からない。しかし、これらの名碗がすばらしいことはよく分かった。誰でも極端に良いものと極端に悪いものは分かるものなのだ。写真はいずれも展覧会のちらしから、

 左上から時計回りに、川喜多半泥子「井戸茶碗 銘 さみだれ」、荒川豊蔵「瀬戸黒茶碗」、金重素山「伊部緋襷茶碗」、加藤唐九郎「鼠志野茶碗 銘 鬼ヶ島」。どれもすばらしい。とくに唐九郎の鼠志野と豊蔵の瀬戸黒が良い。

 左上から時計回りに、岡部嶺男「天青瓷茶碗」、鈴木蔵「志野茶碗」、隠崎隆一「黒面取碗」、樂吉左衛門「焼貫樂茶碗 銘 望舒」。鈴木蔵の志野が荒々しく見事。

 左から、金重有邦「伊部茶碗」、川瀬忍「翠瓷茶碗」。有邦は素山の息子の由。備前焼だ。
 樂茶碗は十五代樂吉左衛門の作品が並べられている。以前サントリー美術館で樂焼きを初代から十五代まで1点ずつ並べた展覧会があった。比べて見ると、さかのぼればさかのぼるほど優れていた。もちろん最も良かったのは初代だった。
 智美術館は小振りながらも品の良い空間だった。ホテルオークラの南側、地下鉄銀座線虎ノ門駅、同じく溜池山王駅日比谷線神谷町駅南北線六本木一丁目駅が作る四角形のほぼ中央に位置する。
       ・
「現代の名碗」
2013年9月14日(土)〜2014年1月5日(日)
11:00〜18:00(月曜日休館、年末年始12月28日〜1月1日休館)
       ・
菊池寛実記念 智美術館
東京都港区虎ノ門4-1-35 西久保ビル
電話03-5733-5131
http://www.musee-tomo.or.jp