メゾンエルメスで『アイルトン・セナ〜音速の彼方へ』を見る

 銀座のメゾンエルメスで、『アイルトン・セナ〜音速の彼方へ』を見る。アシフ・カパディア監督のイギリス映画で、2010年制作のドキュメンタリー。アイルトン・セナはブラジル出身のF1レーサーでワールドチャンピオンを3回も獲得したが34歳のとき、レース中に事故死した。
 映画は生前セナを取材した記録映像を編集して作られている。各地各国の映像を取り集めているらしく、中には日本のテレビ局の映像と思われるものまである。日本語の字幕が入っているので分かるが、字幕のフォントが何種類かあるので、複数のテレビ局から集めているのだろう。
 1994年に亡くなったセナについて、2010年に映画を完成させたので、まさしく過去の記録映像だけで構成している。そんな大きな制約の中で作られたとは思えないほどの見事な出来栄えだった。この映画以外にセナについて知らなかった私にも、天才レーサーの大きな業績や人となりが分かった気がする。もっとも、もし映画がセナの重要な側面(例えば金銭の問題とかマシンのこととか、自動車メーカーの関わりとか)をネグっていたとしても、私には分からないのだが。
 メゾンエルメスでもらったパンフレットから、

圧倒的な人気の中、34歳の若さで突如この世を去った天才F1ドライバーアイルトン・セナ。スポーツの政治に巻き込まれ、マシンの制御に苦しみ、F1の世界に絶望しながらも、彼は速さを、勝利を、そして正しさを求め続けた。深い信念と憂いを湛えたその瞳は、常に澄み渡っていた。(後略)

 銀座エルメスの10階、ル・ステュディオでは今年1年間「スポーツは素敵だ!」という企画で、毎月スポーツに関する映画を無料で上映していた。私は最後の12月の企画のみ見たのだったが、ほかにもトニー・リチャードソンの『長距離ランナーの孤独』とか、フランク・ペリー『泳ぐ人』、ジャック・タチ『郵便配達の学校』等々、面白そうな企画がたくさんあった。あのエルメスだからって、つい気後れして敬遠していたが、今回レースが好きだという女性画家に誘われて行ったのだった。こんなことなら、もっと前から行っていればよかった。