東京都写真美術館の展示を見て

 東京都写真美術館で同時に行われている3つの写真展を見た。
・「日本の新進作家 vol.12 路上から日本を変えていく」
植田正治とジャック・アンリ・ラルティーグ「写真で遊ぶ」
・高谷史郎「明るい部屋」

 最初に「日本の新進作家 vol.12 路上から日本を変えていく」について、これは毎年企画されている新進作家取り上げたもの。今年は大森克己糸崎公朗、鍛冶谷直記、林ナツミ、濱田隆志の5人が取り上げられている。
 大森克己は1963年生まれ、第9回写真新世紀優秀賞を受賞している。大森の作品は解説によれば、「アメリカン・クラッカー(ピンク色の半透明の2個の球体)を風景とカメラの間に介在させ、生じるハレーションを意図的に写真に入れ込む方法で撮影されている」。この手法は佐藤時啓を思わせる。佐藤はたくさんの鏡やストロボを使って、風景の中に太陽の反射やストロボ光をコラージュしていた。
 糸崎公朗は1965年生まれ、第19回東川賞新人作家賞ほかを受賞している。路上の物件を立体物に組み立てた〈フォトモ〉を手がけている。また遠景からズームして昆虫などを接写したものを一つの画面に構成したり、ホックニーのように多くの写真を組み合わせて情景を作る方法などを採用している。
 鍛冶谷直記は1970年生まれ、第25回写真新世紀優秀賞を受賞している。解説によれば、「裏通りや歓楽街の看板やちらし、装飾など、全国各地の地方都市で撮影した風景の断片からなるシリーズ〈JPEG〉を手がける」。アラーキーの路線を絞り込んだ路線とでも言おうか。
 林ナツミは1982年生まれ、「浮遊セルフポートレート」写真で注目を集めている。駅など公共空間や街角などで、自分が飛び上がった瞬間を撮影し、「浮遊」状態に見せる写真を撮っている。ある種のトリック/アイディア写真だ。
 津田隆志は1983年生まれ。解説によると、「出品作品は、全国各地を旅して人に尋ねた『あなたがテントを張れそうだと思う場所』に宿泊し、その場所を記録した写真シリーズ〈site〉をはじめ、その関連作品となる〈site by site〉、「寝る場所」をテーマに都内路上をフィールドワークした新作〈トゥルースリーパー〉から構成される」。

 次に、植田正治とジャック・アンリ・ラルティーグ「写真で遊ぶ」について、植田正治のことは現在東京ステーションギャラリーで開催されている「生誕100年! 植田正治のつくりかた」を12月8日のブログに紹介した。ラルティーグと並べたのは、二人ともアマチュア写真家で身近な家族や知人を被写体に選んでいるから。しかし、あえて二人の写真を混在させた展示方法は見やすいとは言いがたかった。
東京ステーションギャラリーで「生誕100年! 植田正治のつくりかた」を見る(2013年12月8日)

 3つめの「高谷史郎 I 明るい部屋」。高谷は1963年生まれ、「ダムタイプ」に参加して活動するかたわら、個人でも制作をしている。「明るい部屋」とはロラン・バルトの写真論の題名から採られている。しかし、高谷の展示はおもしろくなかった。
 「日本の新進写真家」シリーズは充実していた昨年に比べて、今年は低調との印象を拭えなかった。
 昨年の「日本の新進写真家」を紹介したエントリー
東京都写真美術館の「写真の飛躍」展がおもしろい(2012年1月17日)
       ・
・「日本の新進作家 vol.12 路上から日本を変えていく」
2013年12月7日(土)−2014年1月26日(日)
植田正治とジャック・アンリ・ラルティーグ「写真で遊ぶ」
2013年11月23日(土)−2014年1月26日(日)
・高谷史郎「明るい部屋」
2013年12月10日(火)−2014年1月26日(日)
       ・
東京都写真美術館
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス
電話03-3280-0099 
http://www.syabi.com