ギャラリイKの本田花菜展「Lycorias」が妖しい

 東京京橋のギャラリイKで本田花菜展「Lycorias」が開かれている(12月7日まで)。本展は多摩美術大学大学院彫刻専攻生選抜展と銘打たれている。本田は1988年東京生まれ、2012年に多摩美術大学彫刻学科を卒業し、現在同大学院彫刻専攻に在籍中だ。本展が初個展となる。
 大学が用意したパンフレットに作家のぶっきらぼうなコメントがある。

「命の根源」「愛」「欲望」をテーマに作品をつくっている。

 展覧会タイトルのLycoriasは彼岸花の属名でもあり、ギリシア神話の金色の髪を持つニンフ、リコリアスでもあるという。会場のまん中に大きな立体が吊り下げられている。よく見れば、直径45cmはありそうな彼岸花が10個、球形に連なっている。写真では黒っぽく写ってしまっているが、むしろ毒々しいような赤い花弁で作られている。赤や青に着色された細いビニールパイプがそれらの花を繋ぐように絡まっている。
 彼岸花の中心を見ると白いところが血のように着色された花芯のようなものが作られている。それは作家の舌を型どりしたものだという。



 こんなにエロティックな作品を見たのは何年ぶりだろう。まさに妖しい作品だ。遠くで工藤哲巳に連なっているかのようだ。エロティックと書いたがセクシーとは違う。むしろグロテスクに近いかもしれない。「女性」を象徴的に作品化していると言うべきだろうか。強烈な作品で見ていると圧倒されてしまう。みごとな造形化だと思う。さすが多摩美大学院彫刻科の「大学院生の中から優秀な学生を選抜した」というだけはある。優れた作家が誕生した。
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本田花菜展「Lycorias」
2013年11月25日(月)−12月7日(土)
11:30−19:00(土曜日は17:00まで)
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ギャラリイK
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4階
電話03-3563-4578
http://homepage3.nifty.com/galleryk